病院事業管理者あいさつ

私は1985年から外科医として高砂市民病院に勤務し現在に至っています。病院事業管理者を拝命したのは2008年で、その役割は医療と経営の二つの視点を持って病院を運営することです。2004年に始まった医師の卒後臨床研修制度改革や大学病院の独立行政法人化などの影響で、病院勤務医の減少やそれに伴う入院患者数の減少がおこりましたので、その都度、病院のあり方を考えて対応してきました。

地域に必要とされる病院とは何かを考えた結果、安心・安全な医療を提供すること、地域全体の医療・看護のレベルを上げること、そのためには院内で他職種がお互いをもっと知ること、そして地域住民との交流を通して病院を知ってもらうことが必要と考えました。今ではチーム医療の中心となる認定看護師8名が、医師と共にレベルの高い看護の提供や医療の質の向上に寄与しています。要望が有れば医師やコメディカルが積極的に地域に出向いて出前講座も行っています。2008年から病院まつり(健康まつり)を毎年開催して病院見学や医療相談を行い、職員によるコンサートも年に数回行っています。2009年からは学会形式の院内発表会を毎月開催し、医師やコメディカルの発表を通して自院が提供している医療・看護のレベルの高さを再認識でき、同時に職員のモチベーションも向上しました。院内発表会は現在では高砂オープンカンファレンスとなり、外部の医療・介護職の方にも参加して頂いています。

高砂市民病院の特徴を生かすこと及び医療提供施設間の役割分担を考え、地域の急性期医療をしっかりと守る一方で、地域に不足している部分を補完する意味から、2013年には一般病棟を緩和ケア病棟や外来透析病床に転換しました。また、2016年からは一部を地域包括ケア病棟に転換し、手術後の患者さまや高齢者が十分なリハビリを受けてから安心して在宅復帰できるようにしました。地域包括ケア病棟では在宅療養中の患者様や施設入所者の急変時の受け入れ、レスパイト入院にも対応できるようになり、地域の需要に応えています。
高齢化社会において、住民が住み慣れた自宅や地域で安心して暮らし続けることができるように、厚生労働省は地域の包括的な支援・サービス提供体制の構築(地域包括ケアシステム)を推進しています。病院内に設置された高砂市の在宅医療・介護連携支援センターも、切れ目のない連携に重要な役割を果たしています。
地域包括ケアシステムを円滑に運用するためには、急性期から回復期、緩和ケアまでの多くの機能が必要となりますが、高砂市民病院はそれに沿った機能を持っており地域包括ケアの核になると考えています。地域住民にとって敷居の低い、地域密着型の病院として地域の皆様に貢献していきます。

多くの専門医が在籍していますが、専門医教育と同時に種々の疾患にも対応できる教育を受けてきた医師達です。初期・後期研修医もいますが、温かい雰囲気の病院で専門医集団に良い指導を受け、地域医療の大切さを学んでもらいたいと思っています。
市民にとって在ってよかった、患者さんにとって来てよかった、職員にとって働いてよかった病院を目指しています。

平成29年4月1日
高砂市病院事業管理者 大野 徹